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旅費交通規程について考えてみる

こんにちは。小さな会社の経理から総務までやっている管理人の壱です。

旅費交通規程について調べていたところ、「規定」と「規程」の違いを調べただけで終わってしまったので、引き続き「旅費交通規程」について詳しく調べてみました。

旅費交通規程とは?

旅費交通規程とは、会社の業務で出張した際の出張にかかった費用(経費)について定めた規定になります。

旅費交通規程や出張旅費規程、国内旅費規程、海外旅費規程など、会社によって様々な呼び方があります。ここでは、旅費交通規程に統一します。

旅費交通規程を作成するメリット

旅費交通規程を作成するのは少々面倒ですが、規程(ルール)がないと出張する従業員も経費を処理する経理担当も困ります。小さな会社だからと言って、その都度社長がテキトーに決めるなんてことしてたら、不平不満もでますよね。

旅費交通規程を作成することで、それらの問題が解決でき、ほかにも次のようなメリットがあります。

メリット1:節税になる

既にご存知の方が多いと思いますが、節税になるというのが、1番のメリットですよね。

旅費にかかった費用全てが経費になるかというとそうではありません。もし、「旅費交通規程」を定めずに日当をした場合、給与として扱われ、課税所得になり、税金がかかってしまいます

しかし、常識的な範囲内で「旅費交通規程」を作成していれば、出張にかかった交通費や宿泊費はもちろん、食事代や日当なども経費扱いになります。

給与ではなく旅費交通費などとして経費にできるため、会社・従業員双方にとってのメリットになります。

メリット2:手間が省ける

出張にかかった費用の処理方法が明確になっていないと、その都度判断する必要があります。出張が少ない会社でも交通機関や宿泊先などを一つ一つ調べて、清算するのは一苦労です。また、決定権が社長にある場合、その都度お伺いを立てる必要もあるため、時間も手間もかかります。

「旅費交通規程」があれば、そういった手間が省けますし、「出張旅費精算書」などの統一されたフォーマットを用意しておけば、出張した従業員も経理担当者も手間が省けて非常に助かります。

メリット3:不平不満がなくなる

明確化されていないと会社側、従業員ともに不平不満がでることがあります。

「役員は、出張の度に何でもかんでも経費にしてる」とか、「出張にかかった費用なのに経費にならないの?」と従業員が不満に思うことがあります。

逆に会社側が、「こんな高いホテルに泊まらなくても…」、「タクシーじゃなくて電車やバス使えるんじゃないの?」と思うような場面も考えられます。

そういったことにならないよう、「旅費交通規程」を作成するメリットが考えられます。

旅費交通規程を導入する際の注意点

旅費交通規程を導入する際の注意点として、大きく3つあります。

①全社員が対象

旅費交通規程は、税法上対象者を限定することはできません。役員・従業員を含めた全員に適用しなければいけません。そのため、社長一人の会社や家族経営の会社の場合は問題ありませんが、従業員がいる場合は全社員に通知しましょう。

旅費交通規程がないのに、日当を支給すると給与手当とみなされます。

②出張旅費清算書を作成し保管する

出張に使った経費であることを証明するため、「出張旅費清算書」等、出張に使った経費がわかる書類を作成して保管する必要があります。

決まった書式はありませんが、次のような項目を入れておきましょう。

  • 日時
  • 場所
  • 訪問先と担当者
  • 用件など

ホテルの宿泊代やタクシー代の領収書なども一緒に保管します。電車やバス代で領収書がない場合は、なくてもOKですがその区間の料金がわかるものがあればなおよいです。

旅費交通規程の中に、「出張旅費清算書」等の様式も入れ、出張旅費の清算方法の手順なども盛り込むのがよさそうです。

③旅費として支給する額に注意する

旅費の支給額については、国税庁HPの法第9条《非課税所得》関係の旅費(第4号関係)に非課税とされる旅費の範囲が定められています。ポイントは、次の2つです。

(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

 詳しくは、国税庁HP〔旅費(第4号関係)〕(非課税とされる旅費の範囲)を参照ください。

要するに、常識的な範囲内は非課税ですという内容です。高額すぎる場合は、非課税とされる旅費の範囲を超え、課税対象となるのでほどほどにする必要があります。

あくまで参考になりますが、金額の目安としては以下の通りです。

役職 日帰り出張の日当 宿泊を伴う出張の日当
役員 1,000~3,000円 3,000~4,000円
一般 ~1,000円 1,500~3,000円

宿泊費や食事代は実費の場合ですので、宿泊費等を込みにする場合は相応の金額を支給しても問題ないと思います。

 参考URL:旅費規程.net

旅費交通規程の具体的な項目や内容

旅費交通規程に盛り込む内容はいろいろあります。

定める事項について必要だと思われるものを考えてみました。

目的

旅費交通規程を定める目的ですね。これは必須事項だと思います。

「この規定は・・・出張に関する費用について定める」といった感じです。

適用範囲

作成する旅費交通規程が適用される範囲を定めます。例えば、正社員のみを対象として、パート社員は別に規程を定めるとかです。

「適用」ではなく「適応」が使われているケースもありましたが、「適用」が正しいと思います。

出張の定義

出張といっても近場や遠方、日帰り、宿泊、長期間の出張など様々なケースが考えられます。そのため、出張の種類を定義します。

旅費の定義

旅費の種類についても定義します。交通費、宿泊費、日当、食事代などが考えられます。自社に合った旅費をここで定義します。

交通費・宿泊費

交通費といっても、電車、バス、飛行機、船、自家用車、タクシーなど様々な交通手段があります。役職ごとに定めるのが一般的です。例えば、こんな感じです。

区分 鉄道 航空機 その他タクシー等
管理職以上 グリーン車 ビジネス 実費
一般社員 普通車 エコノミー 実費

宿泊費についても同様に規定するといいでしょう。

自家用車の使用

会社によっては、自家用車の使用はNGとする場合もあります。

逆に地方の場合は、公共交通機関がなく自家用車の使用が必須ということも考えられます。そのため、自家用車の使用条件や交通費(ガソリン代)についても明確に規定しておきましょう。

自家用車使用時の交通費については、○円/kmと明記し、自家用車を業務に使用した書類を記録するようにします。

出張前に関する事項

出張前にやることを規定します。

例えば、

  • 出張○日前までに「出張申請書」を作成し、上長の承認を得ること。
  • 「仮払金申請書兼受領書」を提出し上長の承認を得ることで、旅費の仮払いを受けることができる。

などです。手続きを明確にしておくことで、後々発生するトラブルの予防になります。

出張中に関する事項

出張中に起こりえる事項について規定します。

例えば、

  • 出張中の災害や傷病
  • 時間外勤務(残業)に関する取扱い
  • 長期出張時の休みの取り扱い
  • 出張予定変更時の手続き

など様々なケースが考えられます。大企業の場合は、事細かに規定されていますが、中小企業の場合は、ざっくりと規定しておき、「上長と協議して決定する」といった文言を入れておくとよいです。

出張後に関する事項

出張後にやることを規定します。

例えば、

  • 帰社後、「出張報告書」を作成し、会社へ提出すること
  • 帰社後、「出張旅費清算書」を提出し、○日以内に旅費を清算すること

など、帰社後に行う手続き(帰社報告、旅費精算など)について規定します。

その他(規程外事項)

当たり前かもしれませんが、以下のようなことも規定しておきましょう。

「本規程に定めていない事項については、協議の上決定する。」

最後に

旅費交通規程について調べてみましたが、会社によって事情が異なるので様々なケースが考えられます。ネット上にあるフォーマットをダウンロードして、ちょこっと部分的に変更する方法もありますが、規定を1つ1つ精査して自社に合った旅費交通規程を作成したほうが、メリットが大きくなると思います。

また、旅費交通規程を作成して終わりというわけでありません。しっかり運用できてこそ意味があることなので、運用しやすい旅費交通規程を作成したいと思います。